国立療養所豊橋東病院で出張透析の依頼を受けた患者さんの中で、不幸に不幸を重ねた患者さんがいた。
心不全をおこし、渥美半島から救急車で豊橋東病院に搬送され、治療が奏功して一命を取り留めたものの、長い時間血液の循環が途絶えたため急性腎不全を併発し、透析の依頼を受けた。
カルテの家族歴を見ると、数年前、交通事故で旦那さんと子供さんを失っており、不幸はそれだけにとどまらず、心房細動でも起こしたのだろうか、30歳代の若さにもかかわらず脳梗塞で右麻痺の後遺症が残り、車いすの生活を余儀なくされていた。
年をとり、心臓病と脳血管障害を併発する人は少なからずいるが、30歳代での併発は、少なくともボクの記憶にはない。
何回か透析を行って急性腎不全は解消し、渥美の病院へ転院されたが、今後どのようにして生活していくのだろうかと、気にせずにはおれなかった。
野遊人
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