ヒラリーとテンジンがエベレストを初めて登頂してから昨年60年を迎えた。
それを記念して昨年「ビヨンド・ジ・エッジ」が製作された。
スポンサーを募り、登頂隊を組織するのがこれまでのエベレスト登山であったが、現在はツアー登山へと、歴史は大きく変貌している。
エベレストのツアー登山を成功させたのは、ニュージーランドの登山家ロブで、92年のこと。
96年に行われたツアー登山の顧客の中には、エベレストを登頂した日本人女性2人目で、さらに7大陸最高峰登頂の難波康子さんもいた。
ベースキャンプはロブたちの他にも多くの登山隊が集結し、ルートはラッシュ状態。
登頂を果たした者がいたものの、エベレスト史上最悪の遭難事故が発生し、それを映画化したのがこの作品。
死と向かい合わせのエベレストに何故登るのか、エベレストの“魔力”に魅せられた者にしか分からない問いを映画は問いかける。
よくぞここまで臨場感ある映画にしたものだと震えが来るような映画であった。
残念ながらボクは網膜剥離により、左目の視力がほとんどないため2Dで鑑賞したが、3Dで見たなら迫力はいかほどであろうか。
絶対おすすめの映画である。
野遊人
濡れ衣の罪で10年後に切腹を命じられた戸田秋谷(役所広司)は、その間に藩史の編纂を命じられる。
戸田秋谷は藩史の編纂の過程で藩の重大な秘密を握り、藩はそれが外に漏れないよう、場内で不祥事を起こした檀野正三郎(岡田准一)に戸田秋谷の監視役を命じる。
当初秋谷に不審を抱いていた正三郎は、切腹に追い込まれた真相を知るが、不運な運命にもめげない秋谷の気高い生き方に共感して、次第に変化していくさまを描いた映画。
この映画を一言でいうなら、弱い者の立場に立ち、権力におもねらず、正義を貫くことの大切さを描いた映画だ。
それはいつの時代にも言えることだが、実践するとなるとボクは自信がない。
存在感の大きな役所広司を相手に、岡田准一が堂々と演じており、岡田准一は日本を代表する役者になるような気がした。
野遊人
不器用で無口な父親、働き者できれいな母親、優しい姉、障害を持って生まれた車椅子生活のジュリアン4人の家族の物語。
職を失い久しぶりに帰ってきた父親は、息子ジュリアンにどのように接してよいかわからない。
そんな夫をなじる母親、夫婦は次第に険悪になる。
そういう状況の中、ジュリアンは「お父さんと一緒にアイアンマンレースに出たい」と提案するが「無理だ」の一言で一蹴される。
いくら若い頃トライアスロンに出場の経験があっても、アイアンマンレース(スイム3.8km、バイク180km、ラン42km)でしかも車椅子の息子と一緒では・・・
あきらめきれないジュリアンは様々な方法を仕掛け父親を説得する。
レースの出場に決意した父親だが、母親が猛反対。
これまでの時間を取り戻したい父親、子供ではないことを認めさせたいジュリアン、二人の無謀な挑戦を描いた映画だ。
何度も涙を流してしまった。
父親役のフランスの名優ジャック・ガンブランの演技が素晴らしいのは当たり前だが、オーディションから選ばれたジュリアンは障害を持ち、素人ながらも素晴らしい表情を見せていた。
野遊人
「剱岳 点の記」で注目を集めた木村大作監督2本目の作品「春を背負って」を観てきた。
舞台は立山にある山小屋。
ある日山小屋の主人が急逝し、金融界で優秀なトレーダーとして働いていた息子が山小屋を継ぐ決意をし、勝手の違う山小屋の生活での悪戦苦闘、美しい自然と山の厳しさを描いた作品。
カメラマン出身の木村監督が映し出す立山の美しさは、前作品と同様素晴らしいものになっている。
しかしストーリーがいただけない。次の展開が読めてしまう。
ストーリーが出来すぎ、若者に言わせれば“クサイ” というところもあった。
山歩きをするボクからみると首をかしげたくなるような場面が多い。
例えば雷鳴がとどろく中を救助に向かうことは絶対やらない。
遭難し携帯電話で山小屋に連絡するといつも携帯電話が通じてしまうが本当?
山小屋の経営の大変さをボッカ(荷揚げ)だけで表現するのはあまりにも軽い、などなど。
映像がすばらしいだけに残念。
野遊人
F1を舞台に、実在のドライバー、ジェームス ハントとニッキ ラウダの二人のライバルと友情を描いた映画RUSHを観てきた。
酒豪で女好き、自由奔放なハントに対し、冷静、沈着、緻密な計画の基に事を進めるラウダ、二人は全く正反対の性格。
ドライビングスタイルも全く異にする二人。
ハント・ザ・シャント(壊し屋の意味)のあだ名がつくほど乱暴な走り方をするハント。
一方のラウダは、1cmと違わずにラインをトレースすると言われていた。
F3時代から二人はライバル意識を燃やし、互いの闘争心が二人のレースを高める。
ライバルを好敵手と日本語に訳すなら、これほど的確な二人はいないだろう。
スクリーンから燃料やタイヤの燃える匂いが伝わってくるようなリアルさに引き込まれた。
「男は忘れていた本能を呼び覚まされ、女は宿敵同士による究極の友情に萌えるはず!」でじたろう(小坂崇氣)の感想に拍手
野遊人