二十数年前のこと、当時使用していた透析装置は、日機装社製の個人用透析装置DBB22Bと透析監視装置DCS22Bで、当時の装置は除水スイッチがついていた。
「透析昔話 その5 スイッチの入れ忘れによるトラブル」を参照してください。
透析が終了すると、このスイッチは「切」にして、血液回路を装置から外すように取り決めていた。
いつものように透析用の穿刺針を2本刺して血液回路を接続、血液ポンプをまわして脱血し、除水スイッチと運転スイッチをONにすると、透析液圧計がマイナスに振りきれて警報が発令した。
初めて遭遇した現象、とにかく血液回路を装置から外して、空いている装置に移動。
両サイドのパネルを開いて水漏れの有無を点検するが、水漏れはない。
今となってはどこをどのように点検したか記憶はないが、12時になっても皆目分からず、一旦昼食を食べることにした。
メーカーに報告すれば一発で回答を出してくれるが、なんとしても自分で原因を見つけたい。
除水スイッチOFFで運転にレ手も現象は出ないが、除水スイッチをONにすると再現する。
装置の配管に空気を入れて空気の流れを観察すると、脱ガスチャンバから空気とともに透析液が流れ出ていくことが分かった。
脱ガスチャンバに空気が貯留しない限り、ここから透析液が流れ出ることはない。
原因は脱ガスチャンバ内のフロートに穴が開き(当時はステンレス製のフロート)、フロートが沈み、SV8のスイッチがON状態になっていることが分かった。
これで一件落着だが、このトラブルは32年間でただ一度だけであった。
野遊人
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