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2024/05/18 14:31 |
透析昔話 その23 シャントの再循環

血液透析は1分間に150300mlの血液を、ダイアライザーに流さねばならず、そのためには通常手首付近で、動脈の血管と静脈の血管をつなぎ合わせる「シャント」の手術をする。



図のように、脱血側から血液を取り出してダイアライザーで浄化した後、返血側へ血液を返す。

静脈圧が高くなり、透析液圧は下限警報を発令したので、生理食塩水を血液回路内に補液すると、静脈圧は下がり透析液圧は通常に戻った。

それを2回行ったと、同僚の臨床工学技士から報告があった。

「ウウン、これは何かありそう」と透析室に行き観察すると、動脈血なのに静脈血のように黒い。静脈圧は徐々に上昇し、逆に透析液圧は徐々に下がっていく。

シャントの再循環だ。

ダイアライザーで浄化、除水されて返ってきた血液が再び脱血側に戻り、ダイアライザーを通過することにより、血液が濃縮された状態をいう。


返血側の静脈の血管に狭窄が生じたためにおきた現象。

看護師に、返血できる血管を探して刺し直してと言うと、「この血管で再循環が起きるわけないでしょう」とすごい剣幕で返された。

ボクはシャント血管のことはわからないけど、この状態は再循環に間違いないし、カリウムの検査をすれば一目瞭然だけど、検査しましょうかと、ボクが自信満々に応えたため、渋々返血の血管を探して穿刺してくれた。

結果は、血液は鮮血色に戻り、透析終了まで警報が発令することはなかった。

同僚の技士は、警報が発令して、おそらく血液が凝固したのではないかと考え、生食を注入してリンスしてみたが、静脈圧は下がり透析液圧は通常に戻ったので良しとしたのでしょう。

しかし何故、血液が黒く、静脈圧は上昇し透析液圧は下がるのか考えておらず、しかも2度も同じ現象が起きているのに、疑問にも思わない姿勢に、技士としてやっていけるのかなと心配になった。

 

野遊人

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2016/02/17 06:31 | Comments(0) | 臨床工学技士

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