県外の市立病院に臨床工学技士として派遣され、病院に出向くと、公務員の世界(社会というべきか)には驚くことばかりだった。
透析B原液(以下B剤)は、200L のタンクに精製水を入れて、所定量の重曹の粉末を溶解して使用していたが、透析液は薬剤だからと言う理由で、病院の薬剤師が毎回作製していた。
そのこと自体は驚くことではないが、日勤の薬剤師の出勤時間は午前9時と決められており、B剤の作製は9時以降行われる。
昼間の透析治療は午前9時から開始するが、それまでに透析装置を立ち上げておかねばならないので、当然治療開始に間に合わない。
そこでB剤が作製されるまでの間は、昨日の残りのB剤を使用していた。
これには驚愕するばかり、何故なら一晩置いたB剤は、炭酸ガスが抜けてアルカリ化剤の役目を果たさず、これではただの塩水に過ぎない。
薬剤の効能を知り尽くしている薬剤師が、薬効よりも自分たちの勤務時間を優先することには、開いた口が塞がらない。
驚くべき公務員の世界はまだまだあり、追々紹介するが、看護師たちは目の前の患者さんを前にして、一所懸命仕事に取り組んでいることを報告しておく。
野遊人
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