腎不全が悪化して透析導入になると、痒みに悩まされる患者さんがかなりいる。
透析患者さんの痒みは、湿疹・皮膚炎の痒みや蕁麻疹の痒みとは異なる機序で生じ、また、水分制限により乾燥肌になりやすく、それにより痒みが増強され、今でも特効薬がないのが実情だ。
以前は孫の手にブラシやタワシを縛り付けて、透析中にゴシゴシ体を掻いていた光景がよく見受けられた。
しかし現在は、ブラシやタワシを透析室に持ち込む患者さんは皆無だ。
だからと言って、患者さんは痒みから解放されたわけではなく、昔と比べれば、比較にならないほど痒みが軽減したと言うこと。
生体適合性が高い膜の使用、大きい分子量が除去できる高機能膜の使用、透析液が注射用水に匹敵する位非常にきれいになり、エリスロポエチンにより貧血の改善などがあげられようか。
このような事例から技術の進歩を伺うことができる。
野遊人
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