一昨日のブログに記した「一心滝のやまんば」の民話を紹介しましょう。
今から千年ほど前のお話です。和泉から福沢へ行く途中の倉木山の山奥に「やまんば」が住んでいました。
やまんばは機を織ることが好きで、時々、福沢の里へ機を織りに出かけ、藤の皮をさいては布を作り、また子守りが大変上手で、朝から晩まで木でいろいろなものを作っては子どもをあやすので、子どももやまんばによくなつきました。
ところがある日のこと、親たちがふだん通り、やまんばに子守りを頼んで畑仕事をしていると、突然、子どもの悲鳴が聞こえてきました。
親たちが、急いで家に帰ると、そこには変わり果てた我が子と髪をふり乱し、ものすごい形相のやまんばがいました。
腰をぬかし、動けない親をあざ笑うように、やまんばは倉木山に姿を消してしまいました。 やまんばの恐ろしい正体に驚いた村人たちは、やまんばの大好きなそば団子(実はそっくりな石を焼いた物)を食べさせて退治しようと考えました。
そうとは知らないやまんばは、大きな口をいっぱいに開けて、次々と一口で団子を飲み込んでしまいました。
すると、焼石がおなかの中でごろごろ動きだし、水をほしがるやまんばに、村人たちは油を差し出し、それを飲んだやまんばはさらに苦しがり、天竜川へ水を飲みに行こうとして、崖から落ちてしまったということです。
野遊人
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