中部経済新聞に半年間連載されたものを単行本にしたもので、昭和11年大沢螺子研削所設立から今日に至るまでのオーエスジーの物語。
OSGの初代社長の大沢秀雄さんは、現在の豊橋市高豊の出身。
尋常小学校を卒業した大沢さんは東京の町工場に就職して初めてタップ(雌ネジを切る工具)に出会った。
国産のタップを製造したい一心から独立したものの、工場の焼失、終戦による混乱と資材不足、オイルショックなど苦難の連続であったが、タップ、ダイスの分野では世界のトップメーカーに躍り出た。
また、エンドミルやドリルの分野でも後発メーカーでありながら、持ち前の想像力と探究心で、世界のオーエスジーへと上り詰めた。
平成不況時、社長であった大沢さんの長男輝秀さんは、一部の役員から「人員整理やむなし」の意見を聞くが「会社の都合だけで簡単にレイオフすることは断じて許さない。雇用調整は自然減や新規採用削減によってするべきである」と固い信念により、製造と販売を合併するなど事業の再構築(これが本来のリストラなのだ)によって、社員に犠牲を強いることなく難局を乗り切った。
大王製紙をみるまでもなく、世襲することで失敗する例は多く聞くが、オーエスジーは先代の哲学をしっかり受けとった人材が育成されている。
素晴らしい企業が身近にあることを教えてくれた一冊であった。
野遊人は遊んでばかりではなく、職場に入れば真面目に仕事や勉強をしているのだ。
野遊人
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