発刊から10年ほど経過した本だが、以前から読もうと思っていた藤沢周平の短編集を読んでみた。
たそがれ清兵衛、うらなり与衛門、ごますり甚内、ど忘れ万六、だんまり弥助、がが泣き半兵、日和見与次郎、祝い人助八の8編が収録されている。
そのどれも、あだ名がついた、うだつが上がらない、城の勤める下級武士を描いている作品。
但し、いずれも藩内一、二を争う剣の腕前。
お役目のために剣をふるい、役目が終われば何事もなかったかのように元の生活に戻り、侮られる人間に戻る。
典型的な勧善懲悪であるが、普段はうだつが上がらない人間を描いているのが、この作品の面白さだと思う。
どの作品も構成がワンパターンという批判する人もいるが、ボクには面白く読めた。
山田洋次監督が、藤沢作品のいくつかを映画にしていることに納得した次第である。
野遊人
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