ボクが現在の透析医療に従事した頃の透析用の希釈水は、軟水装置のみで処理したものを殆どの施設が採用していた。
それから1、2年後、診療報酬に逆浸透装置加算が記載され、逆浸透装置で作製された希釈水を用いると、1回の透析に30点請求できるようになった。
これは、逆浸透装置を普及させるために設けた措置である。
軟水装置で処理した水=軟水は、CaやMgなどのミネラル分を除去し、水道水に含まれる消毒用の塩素も取り除かれる。
塩素が除去されるため、希釈水を送る配管内は、緑色の水苔が貼りついていたのが実態であった。
しかし現在は、透析液を直接体内に注入するオンラインHDFに用いる透析用の希釈水は、注射用水の水質レベルを要求され、細菌の内毒素であるエンドトキヂンは測定限界以下で、ほぼ無菌である。
現在の水準からすれば考えられない時代であったのを、若い臨床工学技士の方は理解できるであろうか。
30年以上透析を受けている患者さんは、そんな時代の透析を乗り越えて現在に至っていることを理解していただきたい。
野遊人
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