忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2024/04/19 21:11 |
透析昔話 その26 自殺目的で睡眠薬を多量服薬

忘れもしない昭和60年1月1日、結婚して2度目の正月を家で過ごしていると、職場の上司から電話が入った。

自殺目的で睡眠薬を多量に服薬した人が、〇〇病院に緊急搬送されたから、治療に行ってくれ、必要な器材は業者に運ばせる、との指示が入った。

どのような治療を行うか説明しよう。

DHP(Direct Hemo Perfusion)直訳すると、血液直接潅流、活性炭が入ったカラムに、血液を直接通して、活性炭の吸着力を利用して薬剤を吸着する治療法。


図は旭メディカルのヘモソーバ。

患者さんは理髪店に嫁いだ20代後半から30代前半の
女性。

既に胃洗浄が行われていて、医師に頼んで股静脈に脱血用の針を刺してもらい、腕の静脈に返血用の針を確保していただいた。

通常より抗凝固剤のヘパリンを多めに用いた治療を開始、血流の速度を200ml/mで行った。

3時間ごとに活性炭カラムを交換するので、治療をしている間に次に使用するカラムをプライミングしておく。

何本目のカラムを使用したであろうか、患者さんは覚醒して時折暴れ出すが、医師やスタッフがなだめて落ち着かせる。

患者さんが覚醒したことでボクは一安心、何故なら薬物が体内から除去されたことを物語っているからだ。

医師からもういいでしょうと言われ、治療が終わったのは深夜だったので、カラムは5,6本使用したと思う。

自殺の目的はわからないが、年末に睡眠薬を2本購入して、年が明けた頃服用した模様で、正月を待って決行したことは、強い思いがあるように感じた。

一命を救えた安堵感で、気持ちよく帰宅することができた。

野遊人

拍手[2回]

PR

2016/02/25 13:30 | Comments(2) | 臨床工学技士

コメント

血液吸着や血漿交換など、
新入りの頃、独りでメーカーさんに教えられるがままに
必死でやってた記憶があります(恐)

最近はあまりこういう治療、減ってるような?
(ワタシが出会ってないだけかもしれませんが)
posted by 光at 2016/02/26 12:30 [ コメントを修正する ]
光さん、コメントありがとう。

以前はパラコート(除草剤)中毒、LDL吸着、腹水濾過濃縮再静注など行いましたが、現在は、透析患者総勢600人以上(4つのクリニックの計)いてもまったくありません。
血漿交換やビリルビン吸着は出張透析で、別の病院からの依頼で行いました。
多分、大きな病院では行っていると思いますが、クリニックではそのような患者は搬送されません。
光さんの勤め先は病院ですから、チャンスがあるかも。
posted by 野遊人at 2016/02/26 13:01 [ コメントを修正する ]

コメントを投稿する






Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 (絵文字)



<<豊橋創造大学看護学生の実習 | HOME | 足助で出会ったイングリッシュブルドック>>
忍者ブログ[PR]