ボクが就職したクリニック豊橋は、開院した昭和56年当初は、ガンブロ社のAK-10を使用していたが、日機装社からバイカーボ透析が可能で、除水コントローラがついたDBB22が発売され、バイカーボ透析と除水コントローラの優位性は非常に高く、昭和62、3年にはAK-10は(勿体ないけど)廃棄し、透析装置はDBB22、DCS22、それにニプロ社製のNCD11になった。
日機装の透析装置の除水方式は、除水ポンプで設定分の除水を行う容量制御方式で、ニプロの装置は、設定された除水速度に対して必要な圧力、TMPをかけて行うTMP制御であった。
ニプロのTMP制御方式をもう少し詳しく説明すると
透析開始直後、15分後、30分後、1時間後、後は1時間ごとに、100mmHg(200mmHgだったかな?)のTMPをかけてECUMを行い、装置内のシリンダーが一定量になる時間を計測して、使用しているダイアライザーのUFR(限外濾過率)を検出するもの。
除水速度とUFRから、除水速度÷UFR=TMPが設定される。
透析の経過とともにダイアライザーの膜は目詰まりを起こすのでUFRは低下するが、UFRを測定するたびに膜の目詰まり分を補正してTMPをかけるので、除水は正確に行われる。
若い男性患者に旭メディカル製のPAN(ポリアクリニトリール)膜を使用することになったが、透析を終えて体重計の乗ると1kgほど過除水になっていた。
おそらく測定ミス(透析前、荷物を持って体重計測した等)だろうと判断して、次回の透析もPAN膜を使用したところ、同じ状況になった。
これは何かあるが、メーカーに連絡しても「そんなはずはない」と取り合わない。
以来どうしてだろうと、ボクの頭はこのことから離れずにいたが、UFRの高い膜のUFRは、直線ではなく放物線を描くことに気づいた。
ところがNCD11はUFRを直線としてTMPを算出しているので、UERが高くなるほど誤差が生じることに気づいた。
図で説明しよう。
100mmHgのTMPをかけてECUMを行ってUFRを測定し、必要なTMPが40mmHgだとすると、UFRの高い膜のUFRは放物線を描くため、必要以上の除水(緑色の矢印)=誤差が生じる。
早速設計者を呼んで説明し、当初、ボクの報告に耳を貸さなかった設計者は、グーの音も出さずに戻り、後日UFRを測定する回数を増やしたプログラムを持参したが、透析量(当時は透析効率と呼んでいた)が落ちるようなプログラムは容認できないと指摘した。
これを契機にニプロは、容量制御のNCU-10の開発に入った。
野遊人