技士メニューのモニターをタッチして装置データを開き、3ページ目か4ページ目にSV7の電極の電圧の値はいくつになっている?と聞くと0.5・・・Vと言う。
透析中SV7は閉じていなければならない電磁弁だが、これくらいの電圧なら警報点を上げて対処しても問題ないので、設定2の電磁弁を開いて、警報点0.4Vを0.6V上げるよう指示した。
間もなく「また同じ警報が出ました」と電話が入り、警報点を0.7Vに上げるよう指示を出し、今からそちらへ行くと伝えた。
車を運転中Nリーダーから「先の装置でまた警報が出ました」と電話が入り、このままでは除水誤差が生じる恐れがあるので、ベッドを移動するよう指示した。
SV7を分解してバルブを清掃して組み立て、装置を作動させるが電圧が高い。
新しいバルブに取り換えても結果は同じ
何???
電磁弁の電圧をよく見るとSV8も0.5~0.6Vと高い。
原因は微小な漏れ電流によるものと判断して装置を観察すると、複式ポンプから液漏れが生じている。
複式ポンプをシャーシー(フレーム)から外すと電圧は正常値に戻る。
複式ポンプを分解洗浄して、キャップシールを交換して組み立てると電圧は正常。
これにて一件落着。
キャンドポンプからの漏れ電流は経験しているが、複式ポンプからの漏れ電流は初めてだ。
野遊人
昨年、豊橋メイツクリニックの一員となったN臨床工学技士。
今までは透析室で業務を行っていたが、今後は透析装置を初め、医療機器の管理を行う業務も担ってもらいうことになり、先週までに透析装置のフローシート(透析装置の構造)の講義を終えた。
本日より、透析監視装置の部品を交換し、部品交換を終えたら装置のチェックと調整を行てもらう。
大きな体を小さくして、カスケードポンプを組み立てている。
しかし、Oリングを挟み込んだままネジを締めたので、Oリングが切れてしまうヘマをした。
しかたないね、失敗から学べばよいと、ボクは鷹揚に構える。
決して鉄拳などふるいません。
なんとか調整を終え、デビューを飾った。
野遊人
日本相撲協会の定期健康診断が4日、東京・国技館であり、人気力士の逸ノ城が採血で看護師を四苦八苦させる一幕があった。
ほかの力士が順調に終える中、分厚い肉が邪魔する逸ノ城は血管を見つけてもらえない。腕を何度ももまれて約10分。うっすら浮かんだ血管に針が刺された。
「注射嫌いなんで早くしてほしかった」と逸ノ城。続けて、「汗かいて絞ります」。次回の採血対策も踏まえ、理想より8キロほどオーバーの約203キロからのダイエットを誓っていた。
以上は先日の朝日新聞の記事
何も針が刺しつらいのは逸ノ城ばかりではあるまいが、人気力士ゆえに新聞ネタになったのだろう。
透析を行うには通常動脈の血管と静脈の血管を吻合して内シャントを作製する。
透析に必要な血液流量を確保するためだ。
流量の多い動脈血が静脈に流れるので、静脈の血管が太くなり、太い針が刺しやすくなる。
とはいっても逸ノ城ほどでないにせよ、皮下脂肪の厚い患者さんは刺しにくい。
また見た目は太くても、反復刺していると(165回/年×2本)血管の内腔が肥厚して、細い場合もあり、ハリを刺す看護師を泣かせることがある。
もちろん何回もハリを刺される患者さんの気の毒である。
そこで登場するのが2年ほど前のブログで紹介した血管の中を映し出すエコー。
逸ノ城もこれを使えば楽に刺せるかな?
野遊人
透析医療部長から「Hクリニックから透析装置のポンプが作動しないので、ポンプを持っていたら貸していただけない電話が入ったけどどうすればよいの」電話が入った。
透析監視装置にはポンプが4つあり、個人用透析装置には6つある。
どのポンプが作動しないのか、ボクから直接クリニックに電話を入れて確かめますと伝えた。
電話を入れると、透析液を供給・排液する複式ポンプが作動しないと言うが、透析装置のLotによっては部品に互換性がないものがあるので、訪問するので透析装置を見させてくださいと言って電話を切った。
透析装置を見ると、複式ポンプは作動しているがポンプのボディが左右に動いている。
おそらくボディを固定するビスの緩みだと判断して、ポンプを装置から下ろした。
モーターとボディの間にスペーサーがあり、スペーサーとボディを固定するビス3ケ所が緩んでいた。
ビスを増し締めしてポンプを組み立て、装置に装着し作動させると問題なく作動した。
修理前に発令していた「透析液流量低下警報」も発令せず、装置データの透析液流量も安定しており一件落着。
あまり経験のない臨床工学技士なので、透析液流量低下警報=ポンプの停止と判断したようだ。
野遊人
先日の朝5時に携帯電話が着信音を発した。
豊川メイツクリニックのK課長から「逆浸透装置の軟水器が警報を発している」との電話。
豊川メイツクリニックは夜間や日曜日は無人になるので、問い合わせなどの電話が入ると、待機当番が持つ携帯電話に転送される。
また逆浸透装置や多人数用透析液供給装置などが警報を発令したり、セキュリティを解除しないで院内に入ると警報が発令して、警備会社が駆けつけて連絡を受けるようになっている。
今回のケースは逆浸透装置が警報を発したので、警備会社から待機者に連絡がいったものだ。
K課長は指示してくれれば対応すると言ってくれたが、どのような状態で警報を発しているのか現場を見ないとわからないので豊川メイツクリニックへ急行した。
週3回、深夜に行う再生行程中に、切替バルブが故障し、次の工程に進まないことが原因のようだ。
手動でバルブを操作するが現象は解消しないため、軟水装置をバイパスしてRO装置を作動させるが、軟水装置が警報を出しているためRO装置は作動しない。
時間は朝6時、ちょっと早いかなと思ったがメーカーの担当者の携帯電話に電話して指示を仰いだ。
軟水装置の信号ケーブルを抜いてくださいとの指示。
ケーブルを抜くと警報が消え、RO装置が動き出した。
透析施設に勤める臨床工学技士は、夜間、早朝、休日にかかわらず、装置が故障すれば対応を求められることがあるし、透析装置のメーカーの担当者も同様のことが言える。
野遊人