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2025/04/20 22:09 |
透析昔話 その1 ベテラン患者は装置を信用しない

ボクが現在の仕事についたのは31年前のこと。

当時使用していた透析装置は、スウェーデンに本社があるGamblo社のAK-10。


デジタルではなくアナログな装置、具体的に言うと。


現在の装置は総除水量を入力して、計算画面で透析時間を入力してスイッチをタッチすれば除水速度が設定され、正確に除水が行われる。


一方当時の装置は、所定の除水を行うには、どのくらいの圧力(TMP:Trans Membrane Pressure)を掛けるのか、ダイアル式の設定器でTMPを掛ける非常にアバウトなもの。


しかも、所定通り除水ができたかどうかは、透析後体重計の乗ってみないと分からないという代物。


だからベテランの患者さんになると、きちんと除水できているかどうか、顔のしわや誰首の人さを腕時計のバンドで確かめながら透析を行っていた。


※過剰な水分が体をむくませる。


除水が過不足していれば自分でTMPのダイアルを調整したり、スタッフを呼んでTMPを上げ下げするよう依頼する。


そんな話を若いスタッフに話したところ「それでSさんは透析中に手鏡で顔を見ているだね。私は自分の顔がよっぽど気に入っているのかと思ってた」と納得した様子であった。


それからまもなくして、日本の透析装置のメーカーは除水量をデジタルで入力する装置を開発し、アナログの時代は終焉を迎える。

野遊人

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2015/12/25 10:43 | Comments(0) | 臨床工学技士
透析装置のNa注入器
昨日、オミソを散歩に連れて行った時のこと、公園で3人の高校生がたむろしていて、その内の一人がタバコを吸いだした。

「オイ!高校生のくせにタバコを吸うな!」と一喝した野遊人でした。

今日もお仕事の話。

豊橋メイツには透析患者さんが二百数十人おり、一人だけ透析液のNa濃度をやや高くして透析をしている。

Na濃度を高くするにはNa注入器で10%食塩水を注入。

「Na注入器の接続口をボトルに接続しても、接続されていませんとメッセージが出るけど」と連絡が入った。

下図がNa注入器で、藤色のものをボトルに差し込む。

 

カバーを外すと中はこのようになっている。

 

緑色の物がリミットスイッチで、これが接続口が接続されているか否か判断している。

リミットスイッチはON、OFFできるのでスイッチが問題ではない。

接続口を取り出してみると、液漏れが見られる。

原因は漏れた透析液が結晶して、接続口の動きが悪くなっているのだろう。

 

分解・洗浄し、パッキンの在庫がないので、とりあえず裏返して組み立てて様子を観察することにする。

液漏れは確認されず、誤ったメッセージも表示されず、これにて一件落着。

最近の装置はあまり故障しないので、個人的には面白くない。

こういう故障があるとワクワクするね。

断っておきますが、この日は透析を中断することなく治療をおえた。

というのは、リミットスイッチがONの状態だから、コードを抜いてOFFの状態にして治療を続行した。

野遊人

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2015/12/12 07:20 | Comments(0) | 臨床工学技士
透析装置の故障
これでも臨床工学技士の端くれ、山に行ったり、バイクに乗ったり、遊んでばかりいるわけではなく仕事もしている。
 
日機装社製の透析装置DCS100NXが、透析の治療中に“SV8漏れ量(小)”の警報を発令した。

   
   

青丸で囲んである電磁弁の8番が、本来閉じていなければならないのに、わずかながら開いているという警報で、放置すれば配管内の密閉系が保たれず、除水誤差が生じる恐れがある。

しかしSV8が本当に閉じきっていないのだろうか、これまで何回かポンプの漏れ電流が、フレームを通じて電磁弁に流れ、誤警報を発令していることを経験している。

その場合、ポンプが液漏れを生じているので一目瞭然だが、今回は液漏れが見当たらない。

そこで加圧ポンプ、脱気ポンプ、複式ポンプ、除水ポンプをフレームから外してみて、SV8の電圧を確認する。

すると加圧ポンプ(上図の赤丸)を外したときに電圧が設定以下に下がることが確認されたので、加圧ポンプが犯人であることが判明した。

   

加圧ポンプを分解すると

 

しかし液漏れは見当たらないが、 ロータ内が錆びている。

左が新品で右が取り出したロータ。

 

ロータは永久磁石なので、ここに液が混入して漏電を起こすのだろうかと言う疑問が残り、メーカーに問い合わせることにして、新品のロータに交換した。

これで一件落着。

野遊人
 

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2015/12/11 09:34 | Comments(0) | 臨床工学技士
溶解装置が故障したときの回避策
多くの透析施設は、市水(水道水)を逆浸透装置で精製し、その精製水でA剤、B剤の透析剤を溶解装置で透析原液を作成する。

作製された透析原液は、多人数用透析液供給装置で透析液が作られ、透析監視装置へ供給される。

当院の
多人数用透析液供給装置は50人用の装置で、最大50人の患者さんの治療を行うことができるが、逆浸透装置、透析剤溶解装置、多人数用透析液供給装置が故障した場合、50人の患者さんの治療ができない。

逆浸透装置や多人数用透析液供給装置は、故障個所によってはバックアップ運転で回避することが可能だが、溶解装置はバックアップ運転ができない。

そこで透析剤を手動で溶解して、透析液供給装置に供給することにした。

方法は、50Lタンクに所定量の精製水を入れ、そこへ所定量の透析剤を投入して撹拌する。

撹拌は電導ドリルを用いて行う。



これで溶解装置が故障しても10分もあれば回避することができる。

野遊人

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2015/05/27 13:49 | Comments(0) | 臨床工学技士
通常考えられない透析装置の故障
出勤しようとバイクのエンジンをかけたところへ豊川メイツクリニックから電話が入った。

透析装置の目視点検を行う早出の看護師からだ。

DABが「給水監視異常1」が発令していると言う。



多人数用透析液供給装置DABの水計量シリンダー(水駆動ポンプとも言い、上の写真のステンレスの筒)上部にある電磁弁(上の写真の黒いカバーの部品)の故障により、透析液が作成されないトラブルだ。

予備透析とう方法にに切り替えてこのトラブルを回避するのだが、今からそちらに行くからと言って電話を切った。

豊川メイツに着くと、既にT技士が対応して装置は正常に作動している。

装置記録を見ると、3日にわたって計5回給水流量下限警報が発令している。

給水監視異常1警報は、2日前の土曜日の夕方発令したもので、その後
給水流量下限警報が発令している。

2つの警報は解除でき、その後観察していても再現しない、最もやっかいなトラブルだ。

電磁弁内のプランジャーが開くとき、中途で引っかかり流量が不足するのではと推測したものの、通常では起こりえない。

メーカーの担当者と相談し、弁ゴムとプランジャーを交換した。

新築移転で1か月後には廃棄する装置なので、部品を交換するのはためらわれるが致し方ない。


野遊人

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2015/05/04 10:46 | Comments(0) | 臨床工学技士

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